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第165回 フィルターバブル ~情報過多なのに、圧倒的に情報が足りない~

移動中など隙間時間では、スマホでニュースアプリをチェックすることが
少なくありません。そこで気がつくのが、私がこれまでにチェックした
ニュース(と呼べない情報も含めて)の傾向から、表示するコンテンツが
決まっているのだな、ということです。それは顕在化している私の欲求を
確実に満たしてくれるわけですが、一方で予期しないような"出会い"の
可能性は、どんどん排除されている、ということでもあります。

フィルターバブル。過去のユーザー情報をもとに各人に最適化された
コンテンツを表示するアルゴリズムによって、常に類似した情報や考え方に
囲まれてしまう状態のことを言うそうです。気がつかないうちに、割るのが
難しいシャボン玉の中に閉じ込められているというイメージでしょうか。
この状況の恐ろしいことは、そうした状況にあっても、日々の生活では、
「情報が溢れかえっている」という感覚がある、ということでしょう。

つまり、十分すぎる情報にアクセスできていると思っているのに、実は
ごくごく限定された情報だけに囲まれているかもしれない。広い世界を見て
いたはずが、実はそれは、自分の顕在的な欲求を軸にしたごくごく小さな
世界でしかなったとなりかねない、ということ。しかもそれに気がつくこと
がどんどん難しくなっていく(「それ以外」の情報にアクセスしにくく
なっていく)わけですから、、、恐ろしいかぎりです。

実は、誰かが「あなたがまったく興味を持たないだろうものたち」という
サーチができる仕組みを作ってくれないかと、結構まじめに願っています。

数学や統計学に真剣に取り組んでこなかったこと、プログラムの知識がない
ことが悔やまれます。せめて、偶然に出会える機会とマインドセットを
意識的に持つことから始めようと思っています。

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