第3回 「適材適所」は「弱者救済策」?

少し前になりますが、日本のヘッドハンティング会社のCEOの方が「『適材適所』は、中途半端な能力の人のための一種の『弱者救済策』」である」とい
う意見を展開しているのを目にしました。

その方の話を私なりにまとめると、

1. 「適材適所」は結果論である。
2. 本当にダメな人というのは、残念ながらどの部署に行ってもダメ。
3. 優秀な人はどの環境にも対応できる。
4. ダメな人を再生させることに力を裂くよりも、適材適所を考えなくてよい
優秀な人を採用・つなぎとめることが得策。
5. 「適材適所」は、中途半端な能力の人のための一種の「弱者救済策」である。

というもの。

組織は戦略に合わせて形成され、その組織を成功裡に運営していくために、組織の各構成員の役割はおのずと決まり、構成員はその役割をきっちりと果たし
ていく。そのことが企業の成功を導くので、その要請に柔軟に対応できる能力のある人が企業が求める人である。

この考え方は非常に合理的で本質を突いている部分があると感じますが、どこかに違和感が残りました。

確かに優秀な人(定義は難しいですが)は、どこで何をやってもうまくいくかもしれません。

しかし、普通の人たち(これも定義が難しいですが)が、その力を120%発揮できたとしたら、それこそ企業を成功に導くことになると思うのですが。。

いかがでしょうか?

そのためには、「構成員」サイドの視点が必要だと感じるのです。これが「違和感」のもとでした。


店舗を多く出店している企業での話です。

その会社には、「彼が新規出店のプロジェクトに関わると成功する」という逸話を持つ中堅社員がいました。

そこで経営層は、これまでの活躍をかって、彼が出店に関わった大規模店舗の店長に抜擢することをにしました。

彼もこれで一国一城の主です。

経営層は、これでモチベーションがあがり、更に活躍してくれるものと期待していました。

しかし、結果は。。。

店の業績は、常に目標は達成するものの期待したほどは上がらず、何よりその社員がどんどん元気を失ってきたのです。

彼は、様々なことにチャレンジし、小さな失敗をすることを恐れずに新しいことを創り上げていくことが得意だったし、好きだったのです。

その彼が、一定の固定顧客を持った大型店の店長になったとき、彼の特徴を活かす場面が少なくなってしまいました。

そこで会社は、彼が新規店舗の出店にかかわり続けられるポジションに異動をさせた、ということです。


「いや、仕事はそんなに甘いものではない。どんな役割を与えられても全力でやることが大事なんだ」という考え方もあるでしょう。

「いろいろな仕事や場面を経験して、仕事人として一人前なんだ」という考え方もあるでしょう。

しかし、多くの会社は組織という「様々な人の集まり」をベースに運営されているわけです。

全員が、「何でもできる人」を目指すのではなく、それぞれの人が得意分野で100%以上の力を発揮し、自分の強みで仲間の弱みをカバーし、自分の弱み
を他の人にカバーしてもらいながら、仕事をしていくという考え方があってもよいのではないかと思うのです。

ですから、「適材適所」を「弱者救済」とネガティブに捉えるのではなく、限られた資源(この場合は人、です)を最大限に生かして企業を成功させるため
の重要な考え方と捉えていきたいと思っています。

(2007年9月28日)

破壊と創造の人事

無料メール講座

イベント・セミナー一覧一覧

気になるセミナー・イベント、研究室管理者が主催するセミナー・イベントを紹介します。

スペシャル企画一覧一覧

特別インタビュー、特別取材などを紹介します。

ご意見・お問い合わせ

Rosic
人材データの「一元化」「可視化」
「活用」を実現する
Rosic人材マネジメントシリーズ