第149回 金メダルを取らないスケーターの価値に気がつけるだろうか


普段あまりフィギュアスケートは見ないのですが、先日、帰宅してテレビ をつけたら、たまたま男子のフィギュアスケートを放映していて、そのま ま見入ってしまいました。

ある外国選手が、4回転ジャンプを試みたところ、三回転半になりました (どの種類のジャンプかは覚えていないのですが)しかし、その後は順調 に滑走し、素人目にはとても良い出来だと思われました。

選手がリング外に退出する映像が流れる中、解説者が、「予定した4回転 が三回転半になって、三回転半の数がルールより多くなってしまったので、 減点されてしまいますね」と説明をしていました。

フィギュアスケートでは、ジャンプの数が規定されていて、その中で演技 内容を決めなくてはならないという程度の知識はありました。ただ、その 選手の点数を見て、あれほどの演技をしても、途中のミスで起こった変化 に即座に対応できなかったためにジャンプの数が1つ狂ったことで、表彰 台争いから脱落してしまうのか、と少し驚きました。

その後、別の外国人選手の演技に引きつけられました。体の大きさや力強 さはまさに男性なのですが、表現や体の柔らかさはまるで女性のスケーティ ングを見ているようだったからです。

残念ながら、複数のジャンプを失敗してしまいましたが、とても印象に残 る演技でした。しかし、やはり、彼の点数は、他の選手と比較すると芳し くありませんでした。

フィギュアスケートについてはまったくの素人ですが、スポーツはルール に基づいて、専門家がそのレベルやペナルティの有無を判断するものとい うことは理解しています。ですから、彼らの点数は、至極妥当だったのだ と思います。

ただ、ここで感じたのは、これまでの常識やルールから数歩離れてみたら、 まったく違う価値が見えてくるということがあるんじゃないか、というこ とです。私が「女性のよう」と感じたスケーターは、おそらく、現在の ルールの下で行われる世界レベルの大会で金メダルを取る可能性は低いの だろうと、素人の私でも感じました。

しかし、常識から離れてみると、彼は、まったく違う世界を生み出す可能 性を、彼よりも高いランクにいるスケーターの誰よりも、はるかに持って いるかもしれない。

企業で働いていると、その中の常識やルールの下で「できるヤツ」「上に 行きそうな人」を何となく判断していきます。判断している我々にとって、 その常識やルールが空気のように当たり前のものになっているために、 本当はとてもすごいポテンシャルを持っている人材が、まったく見えてい ないかもしれない。そんなことを、最近強く感じていました。


何らかのルールがなければ組織はうまく機能しないけれど、どうしたらそ れと並行して、そこからは見えてこない人材を見出し、適切な活躍の場を 提供していけるのか、スケート番組が終わって、そんなことを考えました。


(2017年11月16日)
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