第77回 腰痛は反って直せ?日本の携帯はガラパゴスじゃない?

今から15年ほど前、中学生のときから抱えていた「椎間板ヘルニア」を悪化させてしまい、腰の手術をしました。

生まれて初めての手術、腰にメスを入れる、立てなくなったらどうしよう・・・と、本人は悲劇のヒロインの気分でし
たが、手術時間は1時間半。ときに一日近くかかることもある外科手術の中では軽い手術だったようです。

ただし、入院は合計2カ月に及んだため、リハビリには時間をかけました。そのときに言われたことが、
「できるだけ腰を反らさないこと」。寝る時は、横向きで「エビ」のような形で寝るか、仰向けだったら膝を立てる。
うつぶせの姿勢はなるべくしないこと、と指示されました。

また、リハビリに水泳は有効だが、クロールが理想。平泳ぎやバタフライ(そもそもできないが)は避けること、と。

が、最近、「マッケンジー体操」というのが注目を集めているということを知りました。

腰痛には厳禁と言われてきた「うつぶせ状態」で体を反らすことで、腰回りの緊張を解くというもの。
「腰は反らさない」という教えを、長年忠実に守ってきた私にとっては、驚きの情報でした。うつぶせの状態という
のは背骨の湾曲を元に戻し、腰の負担を軽くする姿勢だということを、ニュージーランドの理学療法士である
マッケンジー氏が発見したということです。

そして、実際にその効果を感じている人が世界中に出てきている・・・。

この体操が本当に効くか否かについて語るほどの情報を持っていないので、腰痛持ちの方はご自身で調べてから
お試しください。

ただ、多くの医療関係者や腰痛持ちたちが、「腰は反らしてはいけない」ということを、長年疑ってみなかったという
事実を、単純に笑えないなと思いました。

そういえば「胃炎・胃潰瘍の一部はウィルス(ピロリ菌)が原因で起こる」という当時は「信じがたい」説を唱えた
のは、オーストラリア出身の学者たち(バリー・マーシャル氏とロビン・ウォレン氏)でした。

最終的にはその説が証明され、2005年彼らはノーベル賞を受賞することになりましたが、長い間、あまりに認め
られないために、マーシャル氏が実際にピロリ菌を飲み、自分の体で証明しようとした話は有名です。

十分な検証をせずに新しい説に飛びつくのは危険ですが、私たちには「権威」のお墨付きがあるものをそのまま
鵜呑みにし続けてしまう傾向がある、ということに自覚的であることは、重要だろうと痛感します。

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日本の携帯電話市場は、「ガラパゴス」諸島の動物にたとえられます。

だから、「そこから脱出しないと世界と戦えない!」という論調が一般的に受け入れられています。

しかし、今、世界の経営者たちに「日本の携帯電話などのIT製品・サービスは『ガラパゴス化している』」と説明
しても、何のことなのか理解されないというのです。なぜならば、外国のIT系の経営者にとって、日本のIT製品
・サービスは、「面白くて先進的で、学ぶことが多い」と評価されているからだそうです。

「米アップルの高機能携帯電話(スマートフォン)『iPhone』がこれだけ普及しているので、今こそ日本が培った
技術を生かす時ですが、日本企業はあきらめが早かった」と語るのは、NTTドコモで「iモード」の立ち上げに関わ
った、夏野剛氏です。

日本の携帯が「ガラパゴス」だったのは、マーケティングの問題であって、その中で使われていた技術が
「ガラパゴス」だったわけではなかったということです。しかし、一括りに「日本は遅れている」という言葉にまとめ
られてしまい、自分たちの強みを生かしていく方向を見失ってしまったのではと、夏野氏は指摘します。

権威のある人(組織)から発せられ、一定量の人々に受け入れられている「認識」や「言説」に出会ったら、疑って
かかって見る、そんな態度がこれからのビジネス社会を生きていくための知恵になるのではないかと思いました。
もちろん、人事の世界もしかり。

皆さんはどうお考えになりますか?

今回参考にさせていただいた資料

日経ビジネス 2010.9.6
「江戸に学ぶ健康 腰痛を治すショック療法 堀田宗路」
日経ビジネス 2010.9.13
「今週の焦点 日本のトップ、ネット知らず 夏野剛」

(2010年9月30日)
破壊と創造の人事

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