第97回 毎日1年間と週1回5年間の違い

先日、俳優の渡辺謙氏を取材した記事を読みました。

その中で「いつか監督にも挑戦してみたいか」という質問に対し、「クリント(・イーストウッド)と仕事
(「硫黄島の手紙」)をした際、一瞬血迷いましたが、今のところそれはないです(笑)。クリントは
もう30年近く撮っています。つまり、それだけスタッフが育っているからこそ、あそこまでの作品作りが
できるんです」と。彼の年を重ねたものに対する敬意が印象に残りました。

また、学者・大学教授であり武道家でもある内田樹氏が、その共著の中で「(武道の稽古では)毎日毎日
365日1年間稽古した人間と、1週間に1回5年稽古をした人間だと、週一回5年やっている人の方が
うまくなる、不思議ですけれど」と言っていました。

年を重ねることの肯定的な意味について、改めて考えるきっかけとなりました。

と・・・まったく別の視点も。

「最近、若くして起業していたり、もしくはまだ小さいけど伸び盛りの会社で働いている若い人から、
日本の大企業の動き方について『驚いた』『あんぐりした』的な話を何回か続けて聞きました。

たとえば『なにかコラボできるんじゃないか』と先方から言われたので話を聞きにいくと、最後には
『まあ、半年くらいかけてじっくり検討していきましょう』と言われてのけぞったとか、向こうから呼び出して
おきながら『うちと取引したい会社は五万とある』とエバリくさってるのはどういうコトなんでしょう?とか。」

これは、「Chikirinの日記」という人気ブログの一説。若い人たちの勢いを、昔ながらの考え方でがんじ
がらめになっている日本大手企業の方々が削いでいるという指摘です。こちらの話にも大きく首肯しました。


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私自身はもはや、昔の経験や考え方でがんじがらめになりがち年齢に達しています。ただ、年を重ねて
思うことは、若い時には批判の対象でしかなかった上司や先輩の態度の意味がやっと理解できたことも
ある、ということです。

恐らく、人は到達していない地点からの景色はわからないのだろうと。そこには時を重ねることでしか
獲得できない肯定的な「何か」が存在しうると感じます。

一方で、経験がないときには感じることができた世界を失っているというもの事実でしょう。

だまし絵のネタが分かってしまうと、もう二度と最初に見たときのような混沌とした創造的な見方はで
きず、わかってしまった意味から逃れられない。そのことに気がつかずに、若者の勢いを経験や習慣
への過信で押しつぶしてしまう・・・。

これを読んでいる方がどちら側にいるかわかりませんが、自分が重ねた時間、もしくは未だ経験して
いない時間について考えるきっかけになれば幸いです。


今回参考にさせていただいた書籍・Webサイト

どらく「ひとインタビュー」第191回 渡辺謙

『合気道とラグビーを貫くもの 次世代の身体論』内田樹/平尾剛・著 朝日新聞出版

Chikirinの日記 (2011年8月7日)
将来有望な若者の将来価値を毀損する、大きなワナ


(2011年8月25日)

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