失敗するシステム成功するシステム

多くの企業に存在する「高価で巨大な給与支給システム」

ある会社が、いわゆる大型の(=高価な)人事情報・給与システムパッケージを導入しました。

そこには、沢山の機能がついていて、「将来やらなければならない」と思っていることが、ほとんど網羅されている、多くの同規模の企業で導入されている、ということが最終的な決定理由でした。

しかし、その5年後、そのシステムは経営層や現場からの様々な要望に対応しきれていないということで、翌年のサポート切れを期に、人事システムは別のシステムへの入れ替え、ということになってしまいました。

システムの入れ替えをする場合、現在管理・活用しているデータを移行するという作業があります。

その入れ替えの際に明らかになったことは、その大型人事情報システムには戦略的に重要な情報はほとんどまったく入っていなかったのです。

では、その人事部の方々がどうしていたのか。

すべての帳票類、経営への提出資料、現場への対応は、すべて、人事部の担当者が作り込んだExcel・Accessでこなしていたのです。

結局、大型人事情報システムに入っていたのは、給与支給をするのに必要な情報のみでした。つまり、あれだけ多機能で、将来的な拡張性を期待されていたシステムは、「高価で巨大な給与支給システム」でしかなかったのです。

導入時にかかった費用はもちろん、その後毎年支払ってたランニングコスト、そして本来はシステムが担うはずだった作業を、人事部のメンバーがこなしていた工数(=人件費)。すべて考慮に入れると、莫大な金額になってしまいました。

おそらく、5年の間、人事部の中にも、「高いシステムなのに、期待以上の働きをしていない」と気がついていた人はいるはずです。

しかし、自分たちが決定に関わったシステム、しかも膨大な費用がかかっている。それを、いまさら「使えないので変えてください」とは言えない。

自分たちが頑張れば、業務は動いていく。

そうして、粛々と巨大な給与システムが出来上がっていったのです。

正直、自分が経営者だったら、非常に憂慮すべき問題だと思うのですが、実際には「人事情報・給与システム」に関心を持つ経営者がとても少ないのです。それが、この状態を続いていく背景にあるという側面もあります。

この企業でも、経営者の方が人の管理に本気になってきたことが、大きなシステム移行のきっかけでした。

これは、決して珍しいケースではないと思っています。実際に、こうした企業を何社も見てきました。

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