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第5回 何故、「タレントマネジメントシステム」で成果を出せなかったのか?今、日本の人事が求めるべきシステムとは?

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【そのシステムは、マネジメントの改善・改革といった知的活動に寄りそうことができるのか】

  では、具体的にはどのようなシステムが必要なのだろうか。
 ビジネスの世界で、「既存の仕組みを改善する、もしくは改革する」「新しいことを企画、立ちあげる」といったタスクに取りかかったときには、人材・タレントマネジメントの世界に関わらず、こうした知的活動を行っているのではないだろうか。

 ◆全体像を把握する
 ◆必要と思われる情報を入手する
 ◆入手した情報を様々な角度から理解する
 ◆課題を見つけ出す
 ◆課題解決のために、試行錯誤をしたり仮説をたてたりして、予測を立てる
 ◆課題解決の施策を実行する
 ◆実行した結果をチェックし、改善していく


 そこで扱われている課題が、人材・タレントマネジメントの分野では、「後継者育成・選抜」であったり、「中間管理職層のマネジメント強化」であったり、「高齢社員のモチベーション管理」であったり、「多様性への対応」であったりする、という構造だ。 こうした構造をサポートできるシステムが、今、多くの日本企業で人材マネジメントに関わる人に必要だろうと考えている。

システム的に整理をし直すと、以下のようになる。

継続的・網羅的な一元化と見える化
 ◇徹底的に人材にかかわるデータを一元化し、自社の課題にあった形で柔軟に
  見える化できる。そして、将来の変化にも対応し続けることができる。

連携技術・プロセスサポート
 ◇一元化を支える連携技術、プロセスサポートがある。

課題発見のためのデータの抽出・比較・分析・シミュレーション
 ◇一元化されたデータから、課題を発見していくために、必要に応じて、
  柔軟に抽出・比較・分析・シミュレーションすることができる。

課題解決のための試行錯誤・仮説検証・予測支援
 ◇明確になってきた課題に対して、試行錯誤、仮説検証、未来予測などを行って、
  課題可決策を立てていく。

エビデンス検証
 ◇課題解決策の結果を確認し、PDCAを回していく。

 システムが、上記のような知的活動の動きに寄りそう、つまり、こうした施策をよりよいものにしていくにはどうしたらいいのかを「考える」部分にシステムが使えないとしたら、「体に汗をかく」Excelでの資料作成は残り続けて、システムはその結果を格納するだけの閲覧ツールや、単なるプロセス管理のシステムで終わってしまう。

 繰り返しになるが、これからの日本企業(日本にベースをおく「グローバル企業」も含め)の人事の役割はこれまで経験してこなかったような種類のものになる可能性が高い。そしてその質が、ビジネスの成否に関わってくるだろう。そのための武器として、適切なシステムを選び、活用していっていただきたいと思う。

2018年3月30日

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