第五回 これからの人材開発部門はどうあるべきなのか?

今回は、これからの人材開発部門はどうあるべきなのか、について考えてみたい。 実は、人材開発部門の位置づけについて考え始めたのは、約20年前にまで遡る。私が同業他社から異業種まで、様々な人事の人たちとの交流を本格的に始めた時期だ。その中で、「社内の教育や研修に関わる人たちは、会社・経営者からみて、コア人材なのだろうか?」と感じたことがあったのがきっかけだった。

これからの人材開発部門に期待すること

では、これからの人材開発部門はどうあるべきなのだろうか。

まず、成果主義(パフォーマンスによる評価の重視)や役割給といった考え方が一般的になっていく流れを無視できなくなるだろう。

こうした流れの中では、職能資格制度下で強制力を保っていたタイプの研修は少なくなっていくはずだ。代わりに、社員が本当にパフォーマンスを出すために必要な研修、将来のビジネスを担っていく人材を育てるために必要な教育を、真剣に考えて企画し、実行していく力を持った人材開発部門が必要となってくるだろう。

また、企業が、日本国内にとどまらない競争に勝ち残っていくためには、選抜的人事制度の導入は必至となると思われる。そのとき、選抜されたコアメンバーへの教育だけでなく、その結果としての正しい処遇をしていくことが肝要になってくる。つまり、人事制度企画と教育・研修制度の連動が重要になってくるということだ。

経営戦略実現のために、どのようなコア人材を選抜し育てていくのかを考えることができる、人事制度企画の部隊と対等に話し合える、そしてそれを確実に実行していける人材開発部門が必要になるということだ。

実際に、人材開発部隊に、若手も含めてコア人材を配置していく、人事企画部隊と人材開発部隊との交流を深めるといった施策を取る企業が出てきている。人材という企業にとって重要な財産を総合的にマネジメントしていくに当たって、教育・研修がうまく連動していないマイナス面を積極的に払拭していこうということだと思う。

企業の人事は、こうした歴史認識、時代認識をもって、今までの延長線上に甘んじるのではなく、人材開発担当者を積極的に育てるか、入れ替えるかを、真剣に考える時期に来ていると感じている。

(2009年11月)

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