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人材マネジメントシステム設計者からの提言
人事が経営に資するために必要な、
「人材」×「仕事」×「組織」のデータ活用

■ 執筆者
インフォテクノスコンサルティング株式会社 取締役 兼 プロダクト事業統括 斉藤 由美氏

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目次


1. 問題意識

今の延長線上で、経営に資する人材データ活用が実現できるのか?

 私が人事関連のシステムに関わるようになって25年以上、開発エンジニアと共同で独自の人材マネジメントシステムを設計・開発をし、世に送り出してから15年以上が経ちます。こうした仕事を始めた時代と比較すると、現在の人事に関するシステムやそこでのデータ活用は大きく進化しました。

 私たちがご支援している企業でも、散在していた人材データを一元化・可視化し、業務工数の大幅な削減を実現しています。また、人材データの分析やシミュレーションにも着手し、経営層や事業部長などへの情報公開を進めている企業も増えています。ただ、多くの場合、我々が目指し続けている『本当の意味で経営に資する』というレベルにまで達しているかと言えば、まだまだと認めざるを得ないと感じ続けてきました。

 また、2020年現在、様々な「HR Tech」が登場し、人材に関する様々なデータを比較的簡易に取得できるようになってきています。データの分析についても、様々な提案がなされています。それらは歓迎すべき状況だと喜ぶ一方で、そうした拡がりの先に、単純に「経営に資する人事」があるわけではないのではないかと感じています。ここ数年、「タレントマネジメントシステムを導入したけれど、経営への情報提供につなげられていない」、「経営から思ったような投資効果が出ていないと言われているがどうすればよいか」という声を聞くようになっていることも、その証明のひとつなのではないかと思います。

 本稿では、こうした問題意識の背景を紐解き、経営の意志決定に貢献できる人事のデータ活用の方向性について考えていきます。

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■ PROFILE
インフォテクノスコンサルティング株式会社
取締役 兼 プロダクト事業統括 斉藤 由美氏

人事業務担当者として人事業務改革、人事情報システムの運用を担当。その後ITコンサルタント、人事コンサルタントを経て、2000年にITCを設立。人事にとどまらず、経営者が必要とするシステムを提案・構築できるコンサルタントとして活躍。Rosic人材マネジメントシステムの基本構想から設計に関わり、経営に貢献できる人材マネジメントシステムの発展に力を入れ、活動を続けている。